天神学園の奇怪な面々Ⅴ
「いいぃぃいぃぃったぁああぁあぁいっ!」

またも図書室に響き渡る悲鳴。

だが悲鳴は龍娘のものではなかった。

「痛い痛い痛い!」

何と噛み付いたリーニアの方が、口を押さえて涙目になっている。

「虫歯?知覚過敏?歯医者さんに相談した方がいいかしら…」

片目を瞑って痛みを堪えるリーニアに。

「生憎とどちらでもない」

龍娘は振り向いた。

硬い。

彼女のしなやかな肉体が、噛み付いた瞬間に鋼の如く硬質化したのだ。

身体硬化術『硬気功』。

独特の呼吸法により、肉体は勿論身に纏っている衣服にさえ『氣』を通し、鎧と化す技。

その防御力は魔法や銃火器まで防ぎきる。

如何になんちゃって吸血鬼の噛み付きであろうと、龍娘の皮膚を食い破る事はできなかった。

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