蝉時雨
衝撃で京介が怯んだ隙に
上体を起こして後退り、距離をとる。
「‥‥‥痛‥」
「あ‥‥ごめ‥ん」
いきなりの出来事に驚いて戸惑いが隠せず
それ以上何も言えないでいると、
京介がぼそぼそと何かを呟いた。
「‥‥‥‥ねーよ」
「‥‥‥え‥?」
「そんな顔してんじゃねーよ!!」
部屋に響いた京介の怒鳴り声に驚いて
肩がびくっと跳ねる。
「何かある度、いちいち反応して
兄貴の一言一言に一喜一憂して」
「‥‥京‥介?」
「馬鹿みたいに何でも
兄貴に左右されやがって!!!」
「‥‥‥‥っ」
声を張り上げながら、
京介は私をまっすぐ睨み付ける。