蝉時雨
どうしたらいいのかわからず
答えられないでいると、
京介は私に向けていた視線を外し
ふっと小さく笑った。
「ははっ‥‥なるわけねーか。
お前の頭ん中、
“涼ちゃん”でいっぱいだもんな」
「‥‥‥あ」
「どうせ昨日のことだって
お前は後悔しかしてないんだろ」
「!!京介、違‥‥っ!!」
「なあ」
否定しようとした私の言葉を遮って、
京介がまた私をまっすぐに見つめる。
そして泣きそうな顔で、苦しそうに言った。
「‥‥お前俺のこと、なんだと思ってんだよ」