蝉時雨





「‥‥‥‥っ‥」

気まずくて、何も言えないまま下を向く。

すると京介が小さくため息をついて、
いつもの調子で涼ちゃんに答えた。






「なんでもねーよ。
下行けばいいんだろ?」

「え?ああ、うん」

「着替えてから行く」

「そうだな。じゃあ菜々子‥‥」

「あ‥‥‥!!
私っ‥‥帰るっ!!!」

涼ちゃんがまだ言い終わらないうちに
慌てて声をあげる。




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