蝉時雨
「はぁぁあああ」
部屋中に響き渡るほどの
大きなため息を吐く。
今日はこれで何度目になるだろう。
さっきからソファーに寝そべりながら
携帯に表示された時間を
ちらちらと確認しては
ため息を吐いて、を繰り返している。
「もう。さっきからずっと同じ状態じゃないの」
そんな私を見兼ねて、
掃除機片手に戻ってきたママも
呆れたようにため息を吐いた。
「やだ、ちょっと菜々子!
まだ部屋着のままじゃない!!
洗濯機回しちゃったわよ」
「んー、ちゃんと着替えるからー」
「まったく‥‥。
最近早起きだと思ったらもうこれだもの」
それでも変わらず、
脱力してだらっとソファーにもたれながら
ぼーっとテレビを見つめる私に
またママがため息をひとつ。