蝉時雨
「‥‥‥そうだよね。
まずはちゃんと謝らなきゃ。
答えるのはそれからだよね!!」
「?うん。
ほらほら、どいて。
掃除機かけるんだから」
意気込んでみたものの、
虚しくもママには片手をひらひらとされて
あしらわれてしまった。
そしてスイッチを入れた掃除機が
私を追いやるようにゴオーっと音を立てる。
いそいそと掃除機をかけるママの背中に
「‥‥ちぇー、冷たいんだから」
と小さく愚痴をこぼし、
渋々ソファーから撤退した。
そして自分の部屋に戻って
ようやく部屋着から着替えると、
携帯だけポケットに入れて、
京介の家へと急いだ。
今日も相変わらず
外は溶けちゃうくらいに暑くて、
庭の蝉は騒々しく鳴いている。