蝉時雨





「菜々、お前来週までに
ちゃんと課題やっとけよ」


「‥‥え、なんで来週?」


「は?俺が写すから。」




いつものポーカーフェイスで
当たり前のように答える京介。

そんな京介に私も
ついいつもの調子でつっかかってしまう。







「はぁあ?!やだよ!!
やっても絶対貸さないから!!!」

そう言って京介を睨み付ける
菜々子の視線なんて
気にする様子もなく、

「あっそ。ま、いいけど」

と無表情に答える。



そして横目にこちらに視線を向け
ふわりと笑うと
「あんまむくれてんなよ」と言って
菜々子の頭をくしゃっと撫でて
そのまま歩き出した。














< 214 / 225 >

この作品をシェア

pagetop