蝉時雨
「菜々、お前来週までに
ちゃんと課題やっとけよ」
「‥‥え、なんで来週?」
「は?俺が写すから。」
いつものポーカーフェイスで
当たり前のように答える京介。
そんな京介に私も
ついいつもの調子でつっかかってしまう。
「はぁあ?!やだよ!!
やっても絶対貸さないから!!!」
そう言って京介を睨み付ける
菜々子の視線なんて
気にする様子もなく、
「あっそ。ま、いいけど」
と無表情に答える。
そして横目にこちらに視線を向け
ふわりと笑うと
「あんまむくれてんなよ」と言って
菜々子の頭をくしゃっと撫でて
そのまま歩き出した。