蝉時雨
慌ててサンダルを履いて
京介の後を追った。
少し離れたところに
京介の背中が見える。
「―…っ京介ーーー!!!!」
私の声に気付いた京介が
こっちに振り返る。
これまで京介の不器用な優しさに
何度救われただろう。
キスしたのだって
ほんとに後悔なんてしてないよ。
京介とでよかったって思ってる。
京介となら大丈夫だって
心の底から思えたの。
いっぱい傷つけてごめんね。
いつもいつも振り回してごめんね。
「京介っ‥‥‥ありがとーー!!」
たくさんの気持ちを込めて
離れた京介にちゃんと聞こえるように
精一杯叫んだ。