蝉時雨



慌ててサンダルを履いて
京介の後を追った。


少し離れたところに
京介の背中が見える。








「―…っ京介ーーー!!!!」


私の声に気付いた京介が
こっちに振り返る。









これまで京介の不器用な優しさに
何度救われただろう。





キスしたのだって
ほんとに後悔なんてしてないよ。
京介とでよかったって思ってる。


京介となら大丈夫だって
心の底から思えたの。







いっぱい傷つけてごめんね。

いつもいつも振り回してごめんね。









「京介っ‥‥‥ありがとーー!!」



たくさんの気持ちを込めて
離れた京介にちゃんと聞こえるように
精一杯叫んだ。







< 216 / 225 >

この作品をシェア

pagetop