蝉時雨
*
それから家に帰って、
また再度にらめっこを開始したものの
進まない問題集を放棄して
ソファーに横になっていた。
家には私しか居なくて、
聞こえるのは扇風機の羽音と
庭先のセミの声
風に揺らされて、たまに鳴る風鈴の音
なんだか、静かだ。
ぼーっと天井を見つめながら
さっきの京介の言葉を思い起こす。
涼ちゃんは明後日帰ってしまう。
明日は
涼ちゃんと居られる最後の日。
でもこんな状態じゃ
楽しく過ごすのは無理そうだ。