蝉時雨



「うん。それでさ‥‥
頼みがあるんだ」


そう言った涼ちゃんの視線が
こっちに向けられたのがわかった。







「親父とお袋、京介は
もちろんなんだけど‥。
‥‥菜々子?」


「‥‥‥‥‥‥‥?」




ゆっくりと顔をあげて、
涼ちゃんを見る。











涼ちゃん


そんな嬉しそうな顔で笑いながら
さらに菜々子をどん底に突き落とすんだね。









「菜々子にも彼女に会ってほしいんだ」









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