蝉時雨
隣にいる京介の眉が
涼ちゃんの言葉に反応して
微かにぴくっと動く。
私は答えられずに
涼ちゃんの顔を見つめたまま
また石像のように固まってしまった。
「親族関係とか全然ないけどさ、
菜々子のことは俺、
まじで妹みたいに思ってるんだ」
涼ちゃんは優しい目で私を見つめながら
少し照れたように笑う。
「菜々ちゃんは
もう家の娘みたいなものだもの」
「そうだな」
おじちゃんとおばちゃんも
そう言って嬉しそうに微笑む。
おじちゃん、おばちゃん
ありがとう。
でも菜々子、
悲しすぎて泣きそうだよ。