蝉時雨
ごめんね、涼ちゃん。
悲しい顔は見たくないよ。
だけど私、
そんなにいい子じゃない。
声が震えそうになるのを押さえるように
ゆっくりと息を吐く。
伏せた目をあげて
私の返事を待つ涼ちゃんに
しっかりと視線を合わせる。
そして大きく息を吸い込み、口を開いた。
はっきり言うんだ。
「うん、もちろん!」
こうして
涼ちゃんと過ごす
最高に楽しくて幸せな1週間は、
最低最悪な形で幕を開けた。
-蝉時雨 1日目 END-