蝉時雨




慌ただしい朝の空間に
インターホンの機械的な音が響く。



「あら、京ちゃん。
おはよう」

「おはようございます。
菜々起きてますか?」

「ええ。
菜々子ー!!京ちゃん来たわよ」

「はあーい!!すぐ行くー」

鏡の前で急いで自分の姿を確認すると、
玄関先から聞こえてきた声の方に
ばたばたとかけつけた。





「おはよう!京介!」

「……おう」







涼ちゃんが帰ってきて二日目。

庭先の蝉は今日もうるさく鳴き出して
相変わらずうんざりするくらい暑い。


いつもと変わらない朝。
違うところと言ったら連日の早起きくらいだ。










< 38 / 225 >

この作品をシェア

pagetop