蝉時雨
慌ただしい朝の空間に
インターホンの機械的な音が響く。
「あら、京ちゃん。
おはよう」
「おはようございます。
菜々起きてますか?」
「ええ。
菜々子ー!!京ちゃん来たわよ」
「はあーい!!すぐ行くー」
鏡の前で急いで自分の姿を確認すると、
玄関先から聞こえてきた声の方に
ばたばたとかけつけた。
「おはよう!京介!」
「……おう」
涼ちゃんが帰ってきて二日目。
庭先の蝉は今日もうるさく鳴き出して
相変わらずうんざりするくらい暑い。
いつもと変わらない朝。
違うところと言ったら連日の早起きくらいだ。