蝉時雨
それからはまた涼ちゃんと話をしながら
地元へ向かった。
途中寄り道しながらだったから、
涼ちゃん家に戻ったのは夕方だった。
車を降りて玄関に向かうと
典子おばちゃんの話声が聞こえる。
「典子おばちゃーん、ただいま」
「おかえり、菜々ちゃん、京介」
「あら、おかえり」
「ママ!なんでいるの?
ていうかメール見た?」
「見たわよ。‥‥あら!」
話を遮ってママ達の視線が
私の後ろへ向けられる。
後から入ってきたのは涼ちゃんと圭織。
「ただいまー。
あ!和佳おばさんもいたんだ」
「あらっ!涼ちゃん。
もしかしてそちらが彼女さん!?」
ママも典子おばちゃんも圭織を見て大興奮だ。
そんなママ達に涼ちゃんは照れて笑う。