蝉時雨
「ええ!?なんでぇ!?」
「何ででもよ。
今日はおばあちゃんが来てくれるのよ。
菜々子がいなきゃだめでしょ」
線香花火に毎年託す願い事はいつも同じ。
“涼ちゃんの恋人になれますように”
「夕飯食べたらすぐ帰るから!!
だから、ねっ!!いいでしょ?」
「だーめ。
もうお店も予約してあるのよ」
「そんなぁ~!!
……うぅ、涼ちゃ~ん!!!
夏が近づく度カレンダーに印をつけて
涼ちゃんに会える日を心待ちにしてた。
それなのに