蝉時雨
三日目
「あーあ。つまんないの!!」
「‥‥‥‥‥‥」
ごろんとベッドに横たわり
枕元に置いたマンガ本を手に取った。
「せっかく涼ちゃんが
帰ってきたっていうのにさぁ。
あ、クーラーの温度ちょっと上げるね。
寒くなってきちゃった」
「‥‥‥‥‥‥‥」
天井を向いていた体を
ぐるっと180度転換して
枕にマンガ本を置いて、
パラパラとページをめくる。
「しかも今回は涼ちゃんいつもより長く
こっちに居るのにさあ。
これじゃ全然意味ないよ」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「ほんと嫌になるよね!!
‥‥‥ははっ。このマンガ面白い!
続きも貸して」
「おい」