愛し方を知らない少女の歪んだ愛
私【清水美沙】
「……美沙?」
突然降り掛かった低い声に、体がびくりと震えた。
わたしは焦っているのを知られないよう、耳に髪をかけて落ち着こうとした。
「ごっ、ごめん、勉強中だったよね」
「お前、明日入学式だろ? 早く寝ないと」
そう言ってお兄ちゃんが、壁にかけてある時計を目で指した。
短針は二を指している。もう午前二時だ。
お兄ちゃんの言うとおり、明日は高校の入学式だ。
同じ中学の子はいないから少し不安だけど、新しい友達ができるだろう。
明日のことを思うと、胸が高鳴った。
「それじゃあ、おやすみ!」
わたしは零れんばかりの笑みを浮かべながらそう言うと、部屋のドアを閉めた。
そして部屋に出た途端、廊下に座り込んで深い溜め息をついた。
無理やり笑顔を作ったの、ばれちゃったかな。
わたしは立ち上がり、覚束ない足取りで隣の自分の部屋まで歩いていった。
ベッドはまだ温かい。さっきまで寝ていたのだ。それは当たり前か。
突然降り掛かった低い声に、体がびくりと震えた。
わたしは焦っているのを知られないよう、耳に髪をかけて落ち着こうとした。
「ごっ、ごめん、勉強中だったよね」
「お前、明日入学式だろ? 早く寝ないと」
そう言ってお兄ちゃんが、壁にかけてある時計を目で指した。
短針は二を指している。もう午前二時だ。
お兄ちゃんの言うとおり、明日は高校の入学式だ。
同じ中学の子はいないから少し不安だけど、新しい友達ができるだろう。
明日のことを思うと、胸が高鳴った。
「それじゃあ、おやすみ!」
わたしは零れんばかりの笑みを浮かべながらそう言うと、部屋のドアを閉めた。
そして部屋に出た途端、廊下に座り込んで深い溜め息をついた。
無理やり笑顔を作ったの、ばれちゃったかな。
わたしは立ち上がり、覚束ない足取りで隣の自分の部屋まで歩いていった。
ベッドはまだ温かい。さっきまで寝ていたのだ。それは当たり前か。