愛し方を知らない少女の歪んだ愛
彼【清水祐斗】
「いってきまーす」
新しい制服に身を包んで、わたしは玄関を出た。
学校まで徒歩二十分。走れば十五分で着くのではないか。
去年――中学校のとき――は、自転車で三十分もかかった。
それに比べれば、もう天国だ。
「……いってきます」
後ろから低い声が聞こえたのに気付き、わたしは歩くスピードを遅くした。
お兄ちゃんが傍にいるのに離れて歩くなんて、もったいない。
わたしは無理やりお兄ちゃんと並ぶ。
小学生以来だ。お兄ちゃんと登校するのは。
もしかして恋人に見えたりしないのかな、と胸を弾ませた。
「そうだ」
するといきなり、お兄ちゃんの口が開いた。
お兄ちゃんの顔は昨日と変わらず、難しそう。
「なに?」
「学校では、兄妹ってあんま広めないで。クラスメートうざいから」
お兄ちゃんは素っ気無くそう言うと、足の速度を速めてしまった。
わたしと歩くのが嫌なのだろうか。
そう思うと、胸が痛んだ。
新しい制服に身を包んで、わたしは玄関を出た。
学校まで徒歩二十分。走れば十五分で着くのではないか。
去年――中学校のとき――は、自転車で三十分もかかった。
それに比べれば、もう天国だ。
「……いってきます」
後ろから低い声が聞こえたのに気付き、わたしは歩くスピードを遅くした。
お兄ちゃんが傍にいるのに離れて歩くなんて、もったいない。
わたしは無理やりお兄ちゃんと並ぶ。
小学生以来だ。お兄ちゃんと登校するのは。
もしかして恋人に見えたりしないのかな、と胸を弾ませた。
「そうだ」
するといきなり、お兄ちゃんの口が開いた。
お兄ちゃんの顔は昨日と変わらず、難しそう。
「なに?」
「学校では、兄妹ってあんま広めないで。クラスメートうざいから」
お兄ちゃんは素っ気無くそう言うと、足の速度を速めてしまった。
わたしと歩くのが嫌なのだろうか。
そう思うと、胸が痛んだ。