愛し方を知らない少女の歪んだ愛
敵【笹山有希】
「ああ、美沙。いたのか。帰ってきたなら、挨拶くらいしろよな」

お兄ちゃんがソファから立ち上がり、わたしの方に向かってくる。
続いて女の人も。

「あ、こいつ、おれの彼女。ほら、今日話した」
「改めてこんにちは! 美沙、祐斗の妹だったんだね。思いもしなかったよ」

優しい笑顔を浮かべる大好きな二人。
なのに、いまは笑いかけられない。

「……どうして」

こんなのひどいよ。
あなたには悪気はないと思うけど、わたしは裏切られた気分だよ。

「有希……!」

わたしはその場に泣き崩れた。

裏切られた。
お兄ちゃんを盗られた。

高校生になって初めてできた友達に。
優しくて綺麗で大好きな有希に。
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