愛し方を知らない少女の歪んだ愛
ばれてしまったのだ。
わたしが有り得ないような嘘を有希に吐いたことが。

わたしは体の熱が上がっていくのを感じた。
わたしが嫉妬でしたということまでもばれてしまうのではないかと、恥ずかしさが込み上げてくる。
それと同時に、こんな醜態をお兄ちゃんに曝されてしまったという恥ずかしさも。

「あの……お兄ちゃん」

なにか言わなくてはと思い、顔を両手で覆って立ち尽くすお兄ちゃんに言葉をかけるが、無反応。
わたしは急にひどい罪悪感を感じた。

わたしの嫉妬からしてしまったこと。
それがお兄ちゃんをこんなに苦しめてしまうなんて。

「ご、ごめんなさい!」

わたしは丁寧に頭を下げて謝るが、これにもお兄ちゃんは反応しない。
ただずるずるとソファに崩れ落ちた。
ソファの上に置いておいたわたしの携帯が、その反動で床に落ちた。

怖くなった。
背筋に凍るような冷たさを感じた。

お兄ちゃんが壊れてしまうような気がした。
わたしのせいで、わたしの手で。
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