愛し方を知らない少女の歪んだ愛
知【逸話】
「あのね、別にいいよ。わたしは本当のことを知りたいだけなの。それにちょっと半信半疑だったしね。祐斗はそういうこと、直接言うもの。だからあまり気にしないで。ちょっとしたことを発見できたし」
有希はあのふんわりとした笑みを浮かべながら、わたしにそう言った。
わたしはその場に立ち尽くし、有希の顔を見つめた。
わたしはついさっき学校に着くと、教室で笑いかけてくる有希に度肝を抜かれながら席に着いた。
睨まれると思っていたのだ。
あんなこと言って、もう友達じゃない! と軽蔑的な目で見られるのを覚悟していた。
だけど一体……と思いながら、恐る恐る有希に話しかけた。
あのときはごめん、全部嘘だから、と。
するとこの笑顔だ。
「え……あの?」
「昨日、美沙の言葉を真に受けて、祐斗にメールしたのよ。そうしたらね、短いながらも返ってきたの」
有希はわたしの戸惑いに気付かないのか、言葉を続ける。
わたしの見たところ、有希はとてもご機嫌だったようだ。
「なんて書いてあったと思う?」
「え……誤解だ、とか?」
「違う違う。もっと嬉しいものよ」
有希が顔の前で人差し指を振った。
メールを送ったのは、きっとあの後自分の部屋にこもりながらだろう。
きっと一生懸命悩んで、送ったんだろう。
そんなことを考えていると、昨日の出来事が色鮮やかに蘇ってきた。
わたしは軽く唇を噛んだ。
「あのね」
有希が笑みを絶やさずに言う。