炭坑の子供たち(1)
 学校が半ドンの土曜日の昼間に、風呂にやって来るのは

昼間からブラブラとしている、ヤクザのあんちゃんか

暇を持て余した、じいさん位のものである。

ヤクザが何人も、着流し姿でやって来て

彫り物を入れた背中を見せて、湯船のふちに並んだ姿は、壮観であった。

そのモンチャンを、小さな子供達が、びっくりした様に見ながら

「おいちゃん、誰が書いたん?」

「おいちゃん、水に濡れても消えんとね?」

「おいちゃん、何の絵かね?」

と、質問攻めである。

「ねえ、おいちゃん、何で体に絵を書いたとね?」

「これか?、画用紙がなかったとたい」

余りのしつこさに、もうそう答えるしかなかった。
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