炭坑の子供たち(1)
 他のチームの子供達も

日頃、邪魔をする牛には恨みがあるから、一緒になって草を投げつける。

もう集中攻撃で、誰かの投げた草が、牛の顔面をとらえ

牛の目の前で土が弾ける。

さすがに、のんびりとした牛も、堪忍袋の緒が切れて

ゆっくりと立ち上がるや

突然、こちらに向かって、突進して来た。

「うわあっ」

みんな、我先に逃げ出すが

前を逃げる誰かを1人抜けば、ひとまずは安心である。

角に刺されるのは、後ろの奴だからだ。

猛牛は、野球をしていた子供達を追って、炭住街の中になだれ込んで来た。



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