炭坑の子供たち(1)
 他にも、色んな商売人、職人がやって来た。

穴の開いた鍋の底を直す人

破れたコウモリ傘の張り替えをする人

下駄の歯を新しいのと替える人

ノコの目立てをする人

おやじ達は、坑内で、家のマキにする為の坑木を切るから

みんな、立派なノコを持っていて

ノコの目立てをする人には、結構お得意さんも多かった。

ノコの歯は、真っ直ぐな様に見えるが

微妙に左右に曲がっていて

その調整をうまくやれるのが、腕のいい職人である。

そんな腕のいい職人は、決まってむっつりとしていて

ゴーヤを生でかじった様な、渋い顔をしていた。

その人達の仕事振りを

大勢の子供達が、興味深そうに、取り囲んで眺め

その数は、増えていくばかりであった。









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