炭坑の子供たち(1)
 時折り、子供達は

「おいちゃん、おいちゃんは、この仕事何年しよると?」

「おいちゃんは、嫁さんはおると?」

「嫁さんがおらんやったら、彼女はおると?」

なんて、くだらない事ばかり聞くので

おっさんは、うっとうしがって

「しゃあしいのう、あっちさい行け」

と、怒鳴ったりする。

それでも去らない子供達が、勝手に商売道具を触ろうものなら

叩かれるか、物が飛んで来た。

それらの職人達に、共通して言える事は

みんな、放り投げても壊れない様な、頑丈な自転車に乗っていて

尚かつ、どうやって手に入れたのか

こっそり線路から切って来たのか

必ず、30センチ程のレールの切れ端を持っていた。


< 67 / 98 >

この作品をシェア

pagetop