炭坑の子供たち(1)
その他にも、やっぱり頑丈な自転車に乗って、ふりかけ屋がやって来た。

荷台の木箱の引き出しから、青のりや山椒の粉を出して

ブリキの入れ物の上で混ぜ合わせ

好みでリクエストに応じて、オリジナルのふりかけを作ってくれのだ。

当然、それにも子供達が群がる。

更には、竹でこしらえたヌンチャクみたいなのを、ギリギリと音を立てて回しながら

これまた、頑丈な自転車で、飴屋がやって来る。

そして、飴を細く伸ばす時に

ペッ、ペッとツバを手に付けて、こねるのであるが

子供達は、何の疑いもなく、買って食べていた。

その道に、メグロのオートバイ360CCでも停めてあると

「かっこいいのう」

と、後ろのカバーのデザインが、ドイツ軍の鉄兜みたいになったのを、ほめたたえ

頼まれもしないのに、磨いてやったりしていたが

賑やかに、鐘、太鼓、三味線を奏でながら、商店街の宣伝をするチンドン屋がやって来ると

たちまち、オートバイの事など忘れてしまい

日が暮れるまで、チンドン屋に付いて回り、知らない町まで行く事もあった。
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