炭坑の子供たち(1)
 その、時折り、玉子を生んでくれていたニワトリも

雷の音にびっくりして、突然、玉子を生まなくなってしまったり

夜寝る前に、小屋をちゃんと閉めていないと

イタチに入られて、すっかり血を吸い取られ

朝には、冷たくなって横たわっていた。

イタチは、どんな小さな穴でも

頭さえはいれば、スルリと入る事が出来るのだ。

昼間、小屋の外に出している時でも

ちゃんと見ていないと

犬や猫に食べられる事もあった。

更には、タチの悪い人間もいて

放し飼いにされたニワトリを、めざとく見つけると

「トウ、トウ、トウ」

と、社宅の隅まで追って行き

角を曲がるや、素早く胸に抱き抱え

そのまま、一目散に走り去ってしまうのだ。
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