炭坑の子供たち(1)
当時の中学生の持つ弁当は

ブック弁当と言われる、本みたいな金属製の弁当箱であった。

学校に来る時、横カバンに立てて入れて来るので

どうしても、ご飯とおかずが片方に寄っていて

大抵おかずは、昨晩の残り物だから

生臭い魚の煮汁なんかが、ご飯に移って染みていた。

弁当時間になると、小学校の給食時間の時と同様に

そっと教室を出て行く者達がいたが

弁当を持って来れない者達で

それは、殆んど、小学校の時と同じメンバーであった。

先ず、我々貧乏人は、フタに付いためし粒から食べ

そのフタに、お茶代わりの水を入れ

冬には、ストーブの上に、大きなヤカンが置いてあるので

お湯を弁当のフタにそそぎ、角から飲むのだが、熱いのなんの。

時には、誰かが持って来た、ミツゲン、サッカリンなどを1粒入れて

甘い水にして、飲む事もあった。
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