炭坑の子供たち(1)
日の丸弁当と言って、ご飯の真ん中に梅干が1粒入っているだけの

粗末なおかずの時には、恥ずかしくて、早く証拠を消したいからか

女子も男子も、弁当のフタでかくす様にして、ガツガツと食べていた。

弁当での、ご飯とおかずの割合は

我々貧乏人が、ご飯9に対して、おかずが1

一方、金持ちはと言えば、5対5、ないしは、おかず6に対して、ご飯が4

しかも、毎日、玉子焼きと、輪切りにした紅しょうがが入っていたが

よく、不良の同級生にと取られて食べられていた。

そのうち、のりたまと言う、ふりかけが流行り出すと

金持ちの子は、袋ごと持って来て

自分がふりかけるよりも先に

不良の生徒の席を回って、ご機嫌取りに、ふりかけてやっていた。

そんな金持ちの生徒に対し

我々は、弁当を食べ終わると

フタに残ったさ湯を、今度は弁当箱の本体に移し

中を洗う様にして、めしを1粒も残さず、きれいに飲んでいた。







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