炭坑の子供たち(1)

炭住街の夕食

 やっぱり食事のメーンは、夕食である。

先ず、おかずの煮炊きをする、七輪を起こさなくてはならないが

それは子供の役目である。

こえ松や油紙で、種火をこしらえ、

その上に、丸めた新聞紙を乗せ

更に、小さなマキを乗せてから

やっとその上に、ガラと呼ばれる、豆炭を乗せるのである。

この豆炭は、会社からタダで配られ

月に1度、バタコと言う名の、三輪車の荷台に積まれてやって来る。

そして、四軒長屋の横の道に、四軒分のガラを

スコップで、シャーシャーと小気味良い音を立てながら

荷台をすべらせて下ろし、1つの山をこしらえる。

それを、四軒で分けて

各家が、じゅうのんと呼ばれる、小さなスコップで

エブと言われる、半ザルに乗せて持ち帰り

窓の下にある、コンクリートで出来たガラ箱に入れ

雨に濡れない様に、木のフタをする。
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