炭坑の子供たち(1)
 この豆炭と、どんな関係があるのか

何事かを、一生懸命、必死になってやっているのを

大人達は、「ひっしまめたん」と言っていた。

そんな豆炭を乗せた七輪に

ラッパをひっくり返した様な、ブリキ製のエントツを立てて

風の強い日には、下の通風口をそちらに向けて

自然に起こるのを、待てばいいが

風の全くない時には

油紙で出来た、ちょっと大き目の、頑丈な朱色の渋うちわで

強い風を送らなくてはならない。

七輪が起こる前の白い煙は、特に目にしむので、

目をパチパチさせながら、右に左に逃げるが

白い煙は、逃げる方へ、逃げる方へとやって来た。

その道の真ん中に置いた七輪も

キャーキャーはしゃぎながら、走り回る子供達の足に引っ掛けられて

ひっくり返されたりする。





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