炭坑の子供たち(1)
 今度は、こっちが、騒ぎながら遊んでいると

表で七輪を起こしていた、通称、鬼ババアが

「しゃあしいのう、あっちさい行って遊べ」

と、怒るので

ばあさんが、準備を整えて、家の中に入るや

みんなで七輪を取り囲んで、ション便を勢いよくかけると

ジューと言う音と共に、香ばしい香りが上がり

火は完全に消えてしまった。

そのばあさんは

鬼ババアに始まって、クソババア、しわくちゃババア、梅干しババア、歯抜けババア、こすたれババア、ごうつくババア

など、呼ぶ人によって、色んな名前を持っていた。

朝、学校に行く小学生達が

「おはようございます」

と、声をかけても、返事もせずに、にらみつける様なばあさんであった。

やがて、誰も相手をしなくなったが、ある日、突然

「おはよう、みんなしっかり勉強してきないよ」

と、登校途中の子供達に声をかけ

家の近くで、子供達が遊んでいると、以前は、追っ払っていたのに

自作のあられを、新聞紙にくるんで、みんなに配ったりしていた。

みんなが、不思議がっていると

程なくして、優しいおばあさんは、天国へと旅立ってしまった。





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