炭坑の子供たち(1)
当時、牛肉は、玉子同様に高級品で、滅多に口にする事はなかった。

スキ焼きをするにしても、安いスジ肉ばかりだったが

それでも

「今晩は、久しぶりにスキヤキにするばい」

と、朝に告げられると、その日は、1日中ウキウキとしていた。

何と言っても、肉の主流はクジラであり

凍ってカチカチになった刺身、脂の乗ったベーコン

酢味噌でワケギと食べるオバイケ

おでんの中には、コロが入っていた。

クジラの肉を使った、子供達の大好きな料理と言えば

やはり、ライスカレーである。

カレーとは、不思議な食べ物で

遊び疲れて帰る夕方に、途中でカレーの匂いがして

もしや今日は、ライスカレーでは、と急いで帰ってみると

やっぱりライスカレーであり、よく予感が的中したものである。






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