炭坑の子供たち(1)
 そして、楽しみに残しておいた肉を

いよいよ口の中に入れると

いい肉でもないのに、直ぐに、口の中でトロけてしまい

実は、カレー粉の固まりだったりする。

そのクジラの肉も、やわらかい上等の肉ではなく

並の肉どころか、なみのした、波の下にいるから

潜水艦と呼ばれていた、スジ肉であり

「ようと(しっかり)かめよ」

と、言われるまでもなく

いつまでかんでも、一向に小さくならないから

いいアゴの運動になり

しまいには、意を決して、一気に飲み込まなくてはならない。

クジラのスジ肉なら、未だマシな方で

もっと貧乏な家になると

肉の代わりに、コンニャクが入っていた。




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