炭坑の子供たち(1)
 もし、ご飯を食べていて、しゃっくりが止まらなくなったら

お茶を入れた飯茶碗の上に、箸を十字に置いて

四方から、順番にお茶を飲んでいくと

しゃっくりはピタリと止まった。

又、のどに魚の骨が刺さると、ご飯を丸呑みにいして、骨を取ったり

滅多に食べられない、巻き寿司や、いなり寿司の時には

「ゆっくり食え、慌てるな、慌てる乞食は貰いが少ないぞ」

と、言い聞かされるのに

どうしても、慌てて食べるので、めしが変な所に入り

くしゃみをすると、ご飯粒が、鼻から飛び出して来た。

更には、食べ物を箸でつまんで、相手の箸に渡す

いわゆる、箸の箸渡しをしていると

「つまらんばい、縁起の悪い」

と、怒られた。

何でも、死んだ人の骨を、骨壷に入れる時、箸の箸渡しをするらしい。

それとは逆に、湯飲みの中に、茶柱が立つと

「何かいい事があるばい」

と、みんな、喜んでいた。


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