Reminiscence
フェンはランジェの変化した楽器を抱くと、弦をはじいた。
ロンっと不思議な音が鳴る。
それは初めて見る楽器で、ランジェは昔森の民が使っていた楽器だと話した。
伴奏は楽器が勝手に鳴るのに任せて、フェンは精霊の森の伝承を歌った。
突然始まった弾き語りに次第に人々が足を止め始め、フェンの歌に聞き入った。
フェンが歌い終わるとあちこちで拍手や指笛が鳴らされ、褒めたたえる声が聞こえた。
フェンはぱぁっと顔を輝かせると楽器を抱いたまま深くお辞儀した。
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