Reminiscence

鉱山の村

ミカゲが帰った後、旅人がドアを直すのを見ながらフェンは聞いた。
「師匠、私がミカゲさんに名前を言おうとしたとき止めましたよね?どうしてですか?」
旅人は一度振り返るとまた扉に視線を向けた。
「ミカゲは人形師だ。本名さえ知っていれば人間だろうが石だろうがなんだって操れる。もしお前が本名を明かしてしまっていたら、ルーナフィアナのことが知られていたかも知れない」
「なるほど……」
「ちょうどいい、これからお前は本名を名乗るな。信用できると思った奴にだけ明かせ」
「どうしてですか?」
「ミカゲも『ミカゲ』としか名乗ってないだろう。魔法使いは本名を簡単には明かせないんだよ。名前があれば人を呪えるからな……お前も魔法を学ぶつもりがあるならそうするべきだ」
< 125 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop