Reminiscence
次の日から、フェンはその男の元でナイフを教わるようになった。
朝は旅人と棍の修練、昼は自由だが、夜は男とアサシンの技を習う日々が続いた。
男はロマとだけ名乗った。彼も魔法を扱うのだろうか、とフェンは思ったが、深くは聞かなかった。
旅人にそのことを話すと、旅人はゼルシュの人間はみんなそうだと教えてくれた。
ゼルシュに神はいないが、名前には力が宿ると信じられており、本名を明かすことは力を譲渡する意味があるという。
そのため、本名とは別の通称を名乗るらしい。
また、主従契約のときにも名前は重要なものらしく、従者は主人に名を明かして命を預けるのだとも教わった。
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