Reminiscence
それからは、フェンにとって地獄のようなものだった。
旅人が、フェンの大事な人が使っていた剣が、曲がり、折れ、破壊されていく。
その様子は、フェンがすがっていた旅人との細い線のようなつながりを破壊していくようで、フェンは腹がよじれるような耐えがたい苦痛を感じた。
「や、やめ……やめ、て!お願い、やめてぇええ!!」
フェンはもう何度目になるかわからない涙を流した。
それでも、そんなことにフェンは構ってなどいられなかった。
ヒスイの嘲笑にも似た高笑いが書斎に響く。
それはまるで悪魔の笑い声だった。
なぜ、なぜ……フェンは声を上げる気力も失い、ただ、そう考え続けた。
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