Reminiscence
ヒスイは剣を破壊することに飽きたのか、もはや元の形も思い出せなくなるほど無残な姿になった剣を書斎の奥に放り投げた。
フェンの瞳は光を失い、ただ大きく見開かれた目に涙がとめどなくあふれている。
ヒスイはフェンの様子を見て満足げに微笑んだ。
そしてつと視線を書斎のドアに向ける。
どうも先ほどから書斎のドアを開けようとしている奴がいるようだ。
この部屋はまるごと結界で封じているため、少しのことでは中の様子も漏れなければ、結界を壊されることもない。
ヒスイはフェンに視線を戻し、しげしげとフェンを観察した。
「ほぅ、珍しい。月光草の飾り紐に月忘草の眼帯とは。まあ、それはいいのです。そろそろ死んでもらいましょう。十分に絶望したでしょうから」
ヒスイは手のひらをフェンに向け、マナを集め始めた。
それとほとんど同時、フェンは体の奥が熱くなるのを感じた。
――……死んじゃう？そんなのは……いや……。
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