Reminiscence
しかし、屋敷の人間もさるものでで、すでにワープゾーンの周囲に人を固めていた。
「行動がやけに素早いな。さては事前に準備をしていたか?」
ヒスイは今日、フェンを始末する予定だったので、事前に逃げられないように準備していたと考えれば説明はつく。
ランジェは適当な建物に入ると、屋上まで一気に駆けた。
屋上から下を見下ろすとワープゾーンの周りにさらに人が増えていた。
ランジェは背中に薄ら寒いものが駆けていくのを感じた。
ここから飛び降りてワープゾーンの中心に着地する。
しかし、高さにして10m以上ありそうな建物だ。
ふつうの人の姿では高すぎる。ましてやフェンを抱えている状態で。
かといって、精霊の姿をさらすわけにもいかない。
どうする……。
ランジェの額に冷たい汗が流れた。
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