Reminiscence
ヒスイ様のところの居候が人さらいにさらわれた、という話は街中に広がり、今は街の手の空いている住人全員でその居候と人さらいを探していた。
ヒスイ様は街でも筆頭の金持ちで、今は貴族の子息子女の面倒まで見ているという。
もし見つけることができたら、さらには捕まえることができたら褒賞がたんともらえるだろう。
子供を4人も養っている女はそんなことを考えながら街中を歩き回っていた。
ワープゾーンも街門も押さえているから、人さらいはまだ街の中にいるだろう。
ワープカードを使って逃げられることもあるかもしれないが、ワープカードで行けるのは人の多い主要な街のど真ん中だ。
そんなところに人さらいが行くわけがない。
「すみません、少しお聞きしたいのですが」
服が引っ張られるのを感じて女は振り返った。
誰もいない。
しかし、視線を落とすと白いベレー帽が見えた。
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