Reminiscence
師匠が死んで、苦しいときに。
記憶喪失に幼い姿にと、フェンは頭が傾くような気分の悪さを感じた。
ついにフェンは立っていられなくなり座り込んだ。
考える気力もない。
失くした記憶がどんなものか思い出せないが、なにかが粉々になってしまったように空虚な隙間を感じる。
そしてその隙間からは痛みと悲鳴を感じるのだ。
その痛みは、悲鳴は、決して絶えることはないと、そうどこかで確信してしまう。
あまりのことに声もでない。
「……っ」
泣きそうになって出た息にのどを思わず押さえる。
茫然として言葉が見つからないというだけでなく、本当に声がでなくなっていた。
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