Reminiscence
おかしい。
さっきまでは確かに声が出ていたはず。
どんなに頑張っても、息がのどをかすめるひゅっという音しか聞こえない。
どうやって声を出せばいいんだっけ。
どうやって立てば、どうやって歩けば、どうやって、どうやって?
いきなり何もできなくなるなんて。
……ランジェはどこ?
どうしてここには私しかいないの?
フェンは今すぐ誰かにすがりつかないと、また気を失ってしまいそうに感じた。
「フェン……」
自分を呼ぶ人の声に、フェンはあふれる涙を流しながらゆっくりと振り返った。
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