Reminiscence
――ミカゲさん……
記憶よりも幼い姿のフェンの口がそう動くのを見て、ミカゲは愕然とした。
姿はいい。魔法を解けばすぐに戻る。
しかし、声が出なくなっているなんて聞いていない。
ミカゲは震える体を無理やり押さえながらフェンを包み込むように抱いた。
フェンはすがりつくようにミカゲの背に手をまわし、声をあげずに泣いた。
ミカゲを目を閉じて痛ましげに唇を噛んだ。
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