Reminiscence
ミカゲがフェンに話しかけると、フェンは時折嬉しそうに微笑むことがある。
そういうときは決まってミカゲが仕事でイラついたことがあってそのことをフェンに話しているときだ。
最初はそのフェンの態度にさえイラつきを感じていたが、自分がイライラを溜めているときはむしろ心配そうに見つめていることに気が付いた。
そういうときとにかく叫んでみると、フェンはまた微笑む。
そしてそのとき自分の胸がすかっと晴れていることに気付くのだ。
元からそうだったのか、自分の感情が薄れたぶんそうなったのかわからないが、フェンは人の気分を敏感に感じ取り、自分のことのように相手の感情に寄り添うことに長けているようだった。
ひと月たって、ミカゲはフェンに経済を教えるようになった。
旅をしていただけあって、土地についての知識は多い。
ミカゲのあげた本もまだ持っていて、フェンはどんどん知識を吸収していった。
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