Reminiscence
「いいえ」
フェンは首を左右に振って否定した。
「ただ、この前、私に気づいて挨拶をしてくれた人がいたんです。そのとき、初めて私は、私の歌を楽しみにしてくれている人がいることを知りました。その人たちのためにも、歌いたいと思ったんです」
それからフェンはいたずらっぽく笑って続けた。
「それに私も誰かの前で歌うのが好きなんです。勉強もちゃんとしますから、遊びに行くのを許してくれますか?」
ミカゲは呆れたようにため息をついた。
「そんなことを言われて、私が断るんじゃないかと思っているなら、たいしたことだわ」
ミカゲの返事を聞いてフェンはぱぁっと嬉しそうに顔を輝かせた。
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