Reminiscence

フェンは自室に戻ると事前に買っていた服を広げた。
綿のシャツに麻のズボン、そしてフードのついた丈の短いマント。
それを着て鏡の前に立つと、そこには見習いの吟遊詩人の少年がそこにいた。
フェンはもう15歳だが、身体自体はまだ13歳くらいのままだ。
それくらいの子供は男も女も顔や身体のつくりに大差はない。
フェンの成長が遅れているのはひとえに精霊との契約による影響だ。
この前初めて知ったことだが、精霊の森の民の末裔はある例外を除いて皆マナをもたないらしい。
その例外の1つが契約者だ。
契約者は精霊のマナを身体に取り込むことによって半精霊に覚醒する。