Reminiscence
そして、精霊の森の民の中で契約者とは別にマナを持つ例外、その存在にフェンは気づいた。
「猫族だ」
ひらり、と白銀のしっぽを揺らしてランジェがフェンの目の前に現れた。
突然のことだったが、良くあることだったので別段驚かず、フェンは聞き返した。
「猫族?」
「なんの因果か、リーディアスが建国されるよりも昔、精霊の森の民の中で生まれながらにマナを持った人物が数人現れた。彼らは精霊の森を離れ、放浪し、今では50人ほどの小さな部族となっている。記憶状態は精霊の森の末裔よりもはるかに良かった」
記憶状態、とは自らの出身、その起源、能力、伝承がどれほど今まで残っているかによる。
「精霊の森の民は精霊の森を追い出されたがために記憶状態は悪かった。事実、フェンは自分が精霊の民の末裔だと知らなかっただろう。フェンのその髪型も、精霊の森の民なら普通のものだったのに」

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