Reminiscence
「どうして、フォルテは……お兄様の騎士だったのに」
ティターニアが困惑したように呟くと、父王が答えた。
「フォルテはエドの騎士のなかでは比較的お前とも歳が近い。そして、フォルテほど実力のある呪術師はこの国にはいない。常時マナの巡りが見えるというフォルテならば、護衛としても申し分ない。自分の家で違う巡りが見えたら、嫌でも気づくだろう」
「それとも、フォルテじゃ、不満?」
今まで黙っていた少女が不遜な口調で言った。
「ファイ!」
フォルテはたしなめるように少女の名を呼んだ。
しかし、少女はフォルテを無視して、ティターニアをじっと見つめた。
「もしくは、お姫様はお城の中にずっと閉じこもっていたいのかしら」
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